コラム

2025.12.03

【DX攻略】外注と内製化、どちらが最適?事業会社が陥りやすい”構造の罠”とは

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DX推進において「外注すべきか、内製化すべきか」という二者択一の議論が続いています。しかし、この問いの立て方そのものに構造的な落とし穴が潜んでいます。本記事では、売上1,000億円規模の事業会社が直面するDXの構造課題を明らかにし、外注・内製の二元論を超えた新しいアプローチをご紹介します。

01 DX推進で揺れる「外注か、内製化か」──いま企業が直面している構造課題

DXプロジェクトを進める際、多くの企業が「外注か内製化か」という選択で悩んでいます。この判断の背景には、リソース不足や技術力の課題だけでなく、より根深い構造的な問題が存在しています。

 

DXプロジェクトが”外注依存”になる背景

多くの企業では、情報系部門のリソース不足専門人材の確保難により、DXプロジェクトを外注に頼らざるを得ない状況が続いています。特に売上1,000億円以上の事業会社では、1ライン・1領域ごとに複雑な業務フローが存在し、既存システムとの連携も求められます。その結果、ベンダー提案をそのまま受け入れ、自社の実情に合わない高額なシステム導入に至るケースが少なくありません。

 

内製化が叫ばれるようになった時代的な流れ

近年、「DXは自社で推進すべき」という風潮が強まっています。背景には、外注による属人化リスクや、ブラックボックス化したシステムの維持コスト増大があります。さらに、ビジネス環境の変化に迅速に対応するには、社内で改善を繰り返せる体制が不可欠です。しかし、内製化には高いハードルがあり、理想と現実のギャップに悩む企業が増えています。

 

企業が見落としがちな「構造的なDX課題」とは

DXがうまく進まない背景には、いくつかの構造的な要因があります。その一つが、情報系部門と業務系部門のコミュニケーションギャップです。IT側は技術視点で、現場は業務視点で話すため、要件の認識が揃わないままプロジェクトが進行してしまうケースも少なくありません。

さらに、

  • 要件定義の曖昧さ
  • 現場とITの役割分担が不明確
  • 改善サイクルを回す仕組みが整っていない

など、複数の課題が重なることで、外注でも内製でも成果が出にくい状態が生まれます。

こうしたギャップを埋める“橋渡し”と、最初に構造を設計する視点が欠けていることこそが、DXが停滞する大きな理由と言えます。

02 外注と内製化、それぞれのメリット・デメリットを整理する

外注と内製化には、それぞれ明確な利点と限界があります。ここでは、実務における現実的な視点から両者を比較していきます。

 

外注の利点と限界:スピードとスケーラビリティの裏にあるリスク

外注の最大のメリットは即戦力の確保とスピード感です。専門知識を持つベンダーに任せることで、短期間でシステムを立ち上げられます。一方、デメリットとしては、ノウハウが社内に蓄積されない保守運用コストが継続的に発生ベンダーロックインによる身動きの取れなさなどが挙げられます。特に、要件定義を丸投げすると、本来の課題解決からずれた成果物になるリスクがあります。

 

項目

外注

内製化

初期スピード

◎ 早い

△ 時間がかかる

ノウハウ蓄積

× 社内に残らない

◎ 組織資産になる

コスト構造

継続的な外部費用

初期投資+人件費

柔軟性

△ ベンダー依存

◎ 自由度が高い

 

内製化の強みと課題:自社ノウハウの蓄積とリソース不足の壁

内製化の強みは、自社ノウハウが蓄積され、PDCAを高速で回せる点にあります。市場変化に応じて素早く改善でき、競争優位性を確保できます。しかし、実装体制が追いつかないエンジニア採用が困難既存業務との両立が難しいといった現実的な課題が山積しています。「内製化すべき」という理想論だけでは、現場が疲弊するだけです。

 

DXを外注すると失敗する典型パターン

外注プロジェクトが期待どおりに進まない背景には、発注側とベンダー側で前提や役割が十分に整理されないまま進んでしまうという“構造上の抜け” があります。

要件定義を丸ごと委ねる形になると、提案された高機能システムが現場の業務フローと噛み合わず、結果的に使われないまま残ってしまうことも少なくありません。また、後から追加のカスタマイズが発生し、当初予算を大きく超えるケースも見られます。

こうした失敗は、発注者の能力不足というより、最初にプロジェクトの前提や構造をどう設計するかが問われる場面が多いというだけのことです。構造設計が曖昧なままでは、どれだけ優秀なベンダーでも期待とのズレが発生しやすくなります。

03 DX内製化が求められる理由

内製化は単なるコスト削減策ではなく、事業競争力を高めるための戦略的選択です。ここでは、なぜ今、内製化が重視されるのかを解説します。

 

「スピード」よりも「再現性」が重視される時代

DXの初期段階では「とにかく早く作る」ことが優先されがちです。しかし、本当に重要なのは再現性のある仕組みを構築することです。一度成功したプロジェクトを、他の部署や拠点に横展開できるかどうかが、DXの成否を分けます。WEBEDGEが掲げる「Speed Creates Value」の考えにおいても、単なる速さではなく、価値創出のスピードと再現性を重視した考え方です。

 

内製化はコスト削減ではなく”構造改善”の手段

内製化の目的は、外注費を削ることではありません。自社の業務構造そのものを見直し、属人性を排除し、持続可能な仕組みを作ることが本質です。たとえば、情報系部門が業務系部門と協働できる体制を整えることで、「作業させない構造」が生まれます。これにより、現場の負担を減らしながら、DXを推進できるようになります。

 

DX推進の成功企業が実践する”自走型体制”とは

成果を上げている企業に共通しているのは、外注に丸投げするわけでも、すべてを内製だけで完結させるわけでもない、第三の進め方を採用していることです。
外部パートナーを単なる“作業委託先”ではなく、構造を一緒に作る協業相手として位置づけています。

たとえば初期段階では、外部の専門家がプロジェクトの前提整理や設計をリードしながら、社内メンバーと並走しつつノウハウを段階的に移転します。
このように、設計から運用までの“構造”を少しずつ社内へ引き渡していくプロセス(構造移譲)を踏むことで、最終的には事業会社自身が自走できる体制へとシフトしていきます。

外注か内製かという二者択一ではなく、「協業→移譲→自走」というプロセスを描くことこそが、長期的な内製化と再現性の高いDX推進を実現するポイントと言えるでしょう。

04 成功企業に学ぶDX内製化事例

実際にDX内製化を成功させた企業の事例から、具体的なプロセスとポイントを学びましょう。

 

製造業A社:システム開発を外注から社内チームへ移行したプロセス

製造業A社は、長年外注に依存していた基幹システムの保守を段階的に内製化しました。最初の1年間は外部の伴走コンサルタントと協働し、ドキュメント整備とレビュー体制を構築。2年目から社内エンジニアがメイン担当となり、外部は月次レビューのみに移行。結果として、年間2,000万円のコスト削減と、改善サイクルの3倍速化を実現しました。

 

小売業B社:非IT人材中心の内製DXチーム立ち上げ成功例

小売業B社は、現場の業務担当者を中心にDXチームを編成しました。ノーコードツールを活用し、非IT人材でも運用できる仕組みを設計。外部パートナーは構造設計と初期テンプレート作成に注力し、運用は社内で完結できる体制を整えました。これにより、現場のニーズに即座に対応できる柔軟性を獲得しています。

 

金融C社:外部パートナーと協業したハイブリッド型DX推進

金融C社は、コア業務は内製、周辺システムは外注というハイブリッド戦略を採用しました。重要なのは、外部パートナーを「作業委託先」ではなく「構造パートナー」として位置づけた点です。週次レビューと定期的なナレッジ共有により、社内にノウハウを蓄積しながら、高度な技術は外部の力を借りる体制を確立しました。

05 DX内製化を進めるための3ステップ

内製化を成功させるには、段階的なアプローチが不可欠です。ここでは、実践的な3つのステップをご紹介します。

 

ステップ1:構造設計から始めるDXの内製化戦略

いきなり「すべて内製化する」と決めるのは危険です。まずはどの領域を内製化すべきかを明確にしましょう。たとえば、頻繁に変更が必要な部分は内製化し、高度な技術が必要な部分は外部に委ねる。このように、発注者視点での前提設計が最初のステップです。WEBEDGEのような伴走型パートナーは、この構造設計段階から支援を行います。

 

ステップ2:人材とチームの最適配置(非IT人材の活用を含む)

内製化には、必ずしもエンジニアだけが必要なわけではありません。業務理解の深い非IT人材を中心に据え、外部の技術者がサポートする体制も有効です。重要なのは、「誰が何をどこまで担当するか」を明確にすること。役割分担を曖昧にすると、属人化や負担の偏りが生じます。

 

ステップ3:外部支援の”使い方”を設計する(伴走型の重要性)

外部支援を「丸投げ先」ではなく「伴走パートナー」として活用することが成功の鍵です。たとえば、初期の構造設計は外部に任せ、実装フェーズで社内メンバーを巻き込み、最終的に自走できるようノウハウ移転を進める。業界経験20年以上のコンサルタントによる設計対話が、プロジェクトの成否を分けます。

06 外注と内製化のハイブリッド戦略という選択肢

すべてを内製化する必要はありません。外注と内製化のバランスを取る「ハイブリッド戦略」が、現実的な解決策です。

 

すべてを内製化しない戦略的発想

コア業務は内製化し、ノンコア業務は外部に任せるという発想が重要です。たとえば、顧客データ分析や業務フロー改善など、競争優位に直結する部分は社内で推進し、インフラ管理やセキュリティ対応は専門ベンダーに委託する。このように、戦略的に役割分担することで、限られたリソースを最大限に活用できます。

 

外部パートナーを「作業委託」から「構造パートナー」へ

従来の外注は「作業を依頼して納品を待つ」関係でした。しかし、これからは外部パートナーを構造設計のプロとして迎え入れる視点が必要です。WEBEDGEのような企業は、単なる開発ベンダーではなく、構造ごと委任できるパートナーとして機能します。無理な営業をせず、必要であれば無償での設計支援も行う姿勢が、真のパートナーシップを生み出します。

 

システム内製化を成功させるバランス設計のポイント

成功のポイントは、定額型プロトコルと段階実装型の組み合わせです。初期段階では月額50万円程度から始め、プロジェクトの成熟度に応じて月額100万円、300万円とスケールさせる。PMチーム、開発ユニット、週次レビュー、データ分析をセットで提供する体制が、持続的な成長を支えます。

07 自社に最適なDX推進スタイルを見極める

外注・内製・ハイブリッドのいずれを選ぶかは、自社の状況次第です。ここでは、判断するための3つの軸をご紹介します。

 

判断軸①:社内の技術リソースと業務複雑性

社内にエンジニアが何人いるか業務フローがどれだけ複雑かが最初の判断基準です。たとえば、技術リソースが豊富で業務がシンプルなら内製化が有効ですが、技術者が少なく業務が複雑なら、外部の構造設計力を借りる方が賢明です。自社の現状を冷静に見極めましょう。

 

判断軸②:事業スピードと組織文化

変化のスピードが速い業界では、内製化による柔軟性が競争力になります。一方、規制が厳しい業界や、組織文化が保守的な企業では、外部パートナーの知見を活用しながら段階的に進める方が現実的です。自社の事業特性と組織文化を考慮した判断が求められます。

 

判断軸③:外部支援の選定基準とパートナーシップの深度

外部パートナーを選ぶ際は、技術力だけでなく、構造設計力と伴走姿勢を重視しましょう。たとえば、初回相談で課題の本質を見抜き、無理な営業をせず、必要に応じて無償でも方向性を示してくれるパートナーが理想です。全員が技術者で構成され、営業担当もシステムを理解している企業なら、スムーズなプロジェクト進行が期待できます。

08 まとめ|"外注でも内製でもない"構造設計型DXという答え

ここまで見てきたように、DX推進における「外注か内製化か」という二者択一は、本質的な問いではありません。真の答えは、構造設計にあります。

 

DX成功の鍵は「構造」と「再現性」

DXを成功させるには、誰が何をどう担当するかという構造を最初に設計することが不可欠です。そして、一度成功したモデルを他部署や他拠点に横展開できる再現性を確保することが、長期的な競争優位につながります。外注か内製かではなく、「どう構造を作るか」が本質なのです。

 

外注・内製の二元論を超えた新しいDXモデルへ

これからのDXには、「DX内製化支援」という新しい選択肢があります。社内で内製化できないなら、外部に構造ごと委任し、最終的に内製化に至る道筋を描く。これが、売上1,000億円以上の事業会社に求められる現実解です。

WEBEDGEは、「Speed Creates Value」をスローガンに、お客様のDXを構造から支援するシステムインテグレーターです。単なる開発ベンダーではなく、構造パートナーとして徹底的に向き合い、再現性の高いノウハウをワンストップで提供します。情報系部門のリソース不足、実装体制の課題、情報系と業務系の連携不全──こうした構造的な課題を抱えている企業様は、ぜひ一度ご相談ください。初回無料コンサルティングで、貴社の課題の見える化や要件定義からサポートいたします。

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